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特発性血小板減少性紫斑病 - どのような人に起こりやすいか
 

 急性型と慢性型にわけられますが、後者の慢性型が臨床上の問題が多く、従来は18歳から20歳の女性に多い(男女比 1:2)といわれていまし た。最近 の調査では56歳から60歳を中央値にしてもう少し高い年齢の人に認められ、男女比も1:1.7あるいは1:1.2などの数字が報告されており以前思われ ていたよりは男女差が少ないと考えられます。

 

 

特発性血小板減少性紫斑病 - どのように診断するか

 他の血小板減少の原因を除外することによって診断が確定するという、除外診断という点では以前と同じです。抗血小板抗体の検査はPAIgG(血小板関連性免疫グロブリンG)が広く行われ るようになって、以前よりは特異性が上がりましたがそれでも一部の疾患で偽陽性を認めますし再現性もほかに比べると不良です。

 

血小板減少性紫斑病 - どのような人に治療するか  

 その人のライフスタイル、年齢、合併している疾患などによって、すぐに治療するべきかしばらく様子をみるかはかなり変化します。例えば職業が警備員でと きに違法な行為を止めるような状況が考えられる人、20歳の大学生で今後色々なスポーツを始めたい人、60歳で脳動脈瘤があり脳出血の危険が高い人、冠動 脈疾患があって抗凝固療法を行う必要がある人など、様々の状況の人がおられます。それぞれの人にあわせて治療開始時期を考える必要がありますが、あえてひ とつの目安としていうのであれば 1)血小板が2万−3万/μLを下回る人、あるいは2)重大な出血を繰り返す人と考えます。近年の臨床統計ではこの数字 以上の血小板のある人で生命にかかわるような出血の起こった確率は非常に小さいと報告されています。抗血小板抗体が血小板の機能を傷害することもあるの で、ときに血小板数がこの程度あるのに出血を繰り返す人もおられますし、また血小板が減少したときに説明のつかない易疲労感を認める人もおられます。

 

特発性血小板減少性紫斑病 - どのように治療するか - 1  

 出血症状の強さや重大性と、治療に伴う困難すなわち副作用や生活の質(QOL)の低下などのバランスの上にたって治療方法を選択していきます。1)現在 重大な粘膜出血や臓器出血を起こしている人、2)血小板が2万/μL未満で過去に重大な出血を認めた人、3)プレドニンを十分量服薬する人などは入院加療 が薦められます。
 それ以外の大部分の人は外来治療となります。治療の第一選択としては従来通りプレドニンなどの副腎皮質ホルモンが上げられます。 1.0mg/kg/dayで開始し(この時期は入院が勧められます)、血小板の増加を確認して徐々に減量していきます。50−90%の人に増加が期待でき ますが、プレドニン減量後も血小板が安定する人は10−30%です。プレドニンを長期に服薬する場合、骨粗鬆症、高血糖、高血圧などの副作用への対応を同 時に行う必要があります。

 

特発性血小板減少性紫斑病 - どのように治療するか - 2  

 2番目に脾臓摘出手術(脾摘)が上げられます。その後の治療を必要としない寛解、いいかえると“病人”でなくなる状態が期待できる唯一の治療法です。も ちろん脾摘をうけた人の85%で血小板が増加し、2/3の人で長期の寛解が得られますがけっして全員ではありません。ときに再燃することもありますし、手 術そのものの危険もあります。しかし総合してみると非常に優れた治療法です。
 ピロリ除菌:日本やイタリアでは良い治療成績(50%くらい)が報告されていますが、米国などではあまり良くないようです。生活環境や人種の差が影響し ているのかも知れませんが、除菌の治療にともなう困難が比較的軽微なので、ピロリ菌が陽性であれば試みてみる価値は十分あります。
 ガンマグロブリン製剤:副作用が少なく有効率も高いのですが、血小板増加は一過性にとどまることが多いので、脾摘の前処置や緊急時の対応に使用すること が殆どです。同様の製剤で欧米でよく使用されるanti-D グロブリンは日本では保険が認められていません。

 

特発性血小板減少性紫斑病 - どのように治療するか -3  

 免疫抑制剤、ビンクリスチンなど:上に述べた一連の治療でよい結果が得られないときに考えていく治療です。白血球減少や末梢神経障害などの副作用に対応 しながら注意して使用します。
 ダナゾール(ボンゾール):上記治療に反応不良のときに欧米でよく使われる薬剤ですが、日本では保険の問題があります。
 リツキサン(抗CD20モノクローナル抗体):同じく上記治療が無効のとき欧米を中心に使用が開始された薬ですが、副作用が比較的軽微で長期の寛解が得 られ事がわかってきたため、脾摘による改善が認められなかった人の次の治療として最も期待されています。日本では悪性リンパ腫にのみ保険適応が通ってお り、最近臨床治験が始まりつつあるのでその結果を待つ必要があります。

 

 


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